就労定着支援とは?
2022.05.20掲載
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「就労定着支援」という障害福祉サービスをご存じですか?

就労定着支援は就労移行支援や就労継続支援とは異なるサービスであり、一般企業で働く障がい者の方をサポートするものです。厚生労働省の調査の中でも障害のある方の「就職後の早期離職」が課題となっております。ちなみに障害のある方が1年以内に離職する割合は3割と言われています。

短期間で会社を辞めてしまうことを繰り返してしまうと、転職活動の際にいいイメージがあまり持たれません。せっかく入社した会社で、継続して働き続けて活躍することが理想ですよね。

「一般企業で働く予定がある」
「いま働いているけど悩みや不安がある」

そんな方は、就労定着支援をうまく活用することをお勧めします。今回は就労定着支援について解説していきます。

 

就労定着支援事業が生まれた背景

就労定着支援は平成30年4月より事業化がされました。

その背景には、障がい者の離職率があります。日本全体の年間の平均離職率が15%前後であるのに対して、H29年の厚生労働省の統計を見ると、障がい者の離職率は最初の3か月で30%前後になるそうです。この問題に取り組もうとして新設されたのが就労定着支援という「障害者総合支援法」の訓練等給付の対象となるサービスです。せっかく障がい者の雇用が増加しているのに、離職率が高ければ意味がありません。そこで障がい者が一般就労(一般の事業所で働くこと)してからも、離職しないためのフォローを行なう支援を事業化することになりました。

 

就労定着支援とは?

就労定着支援とは、障害者総合支援法に定められた「障害福祉サービス」のひとつです。

障がいのある方が就労先の労働環境や業務内容に順応し、長く働き続けられるように支援することが目的です。具体的には、就職後に生じた課題(悩みやトラブル)に対して、就労定着支援員が障がい者本人と会社を仲立ちし、相談や助言など必要な支援をおこないます。

 

一般就労を続けるうえで生じる「生活面」の課題

  • 生活リズムが崩れたりすることで生じる遅刻や欠勤の増加
  • 身だしなみの乱れ
  • 薬の飲み忘れ
  • 家庭環境からくる外的要因 等

一般就労を続けるうえで生じる「勤務面」の課題

  • 職場での雰囲気になじめない
  • 社内コミュニケーションがうまく取れない
  • 職務内容が障害特性と合わない
  • 職場環境が障害特性と合わない 等

 

このような課題は安定した就労に影響を与え、離職率を高めるリスクとなり得ます。具体的な支援は以下のとおりです。

 

①障がい者との相談を通じて課題を把握する

②課題に対し、本人や家族、雇用主と課題解決に必要な関係機関(障害福祉サービス)等のや連絡調整を行う

③課題解決に向けた支援を実施する。支援は障がい者の自宅や企業等を訪問するなどして月1回は面談等を行う

 

就労定着支援を受けるためには?

就労定着支援事業を行なえるのは、就労定着支援事業所として指定を受けた事業所となります。

前提として、就労定着支援の対象となるのは生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援のサービスを利用して一般就労した障がい者です。

事業所のすべてが就労定着支援の指定を受けられるわけではなく、過去3年間に平均1人以上の一般事業所に就職した利用者がいる、もしくは開所から3年たっていなくても過去3人以上の一般事業所に就職した利用者がいることが条件となっています。

現在、生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援のいずれかを利用されている場合は、就労定着支援事業所の指定の有無についてはその事業所の職員に聞くか、市町村の障害福祉関係の窓口に確認してみてください。

 

就労定着支援を受けられる期間は?

就労定着支援事業における事業所の支援期間は最大3年間となっています。支援開始から1年ごとに支援を更新するかを判断します。あくまでも訓練等給付の対象となる指定事業所による就労定着支援の部分が3年間ということです。

 

生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援を行なう事業所から利用者が一般就労した場合、まず当初の6か月は利用していた事業所がそれぞれのサービスの範囲として定着支援を行ないます。それ以降も定着支援が必要であれば、そこから先は今回の主題である就労定着支援事業のサービスに申し込むことによって、就労定着支援事業所による支援が始まります。

 

その後、3年間の支援期間が終了した場合もそこで支援が打ち切られるわけではなく、障害者就業・生活支援センターなど障害者の就労支援を行なう公的支援機関などと連携を取りながら必要に応じた支援は継続されていきます。支援開始から3年以上たった場合、それぞれのケースによって就労定着支援の主体が指定事業所から障害者職業・生活支援センターに移行すると考えてよいでしょう。

 

就労定着支援を受ける時の利用料は?

利用料金は、厚生労働省が定めた障がい福祉サービスのサービス提供費に応じて設定されます。就労移行支援と同様、1割は自己負担、9割が自治体負担です。さらに前年度の世帯所得や住んでいる自治体などによっても負担の上限額が変わります。生活保護受給者の場合、利用料金の負担がありません。詳細は各自治体に確認するとよいでしょう。