就労移行支援事業所とは?働くことに不安があるなら
2022.04.22掲載
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お役立ち情報

障害や疾患のある方が就職活動を行うときは、就労移行支援事業所を利用することでさまざまなメリットが期待できます。今回は就労移行支援事業所が行なう支援やその訓練内容についてご紹介します。

一般企業で働きたいけど自信がなくて踏み出せない、短期離職が続いている、どんな仕事が向いているのか分からない、などの不安を抱えている障がい者の方、その悩みは就労移行支援の訓練で解決できるかもしれません。

 


就労移行支援事業所とは?

「就労移行支援事業所」とは、障がいのある方の一般企業への就職をサポートする通所型の福祉サービスです。就労移行支援事業所は、地方自治体から指定を受けてサービスを提供しており、宮城県内には約60ヵ所の事業所があります。

 

どんな人が利用できるの?

就労移行支援事業所を利用するために必要な条件は次の4つです。4つすべての条件を満たしている方が利用できます。

■一般企業への就業を希望する方 ※就労継続支援A型やB型等の福祉的な支援を受ける就労を目指す場合は対象外

■身体障害、知的障害、精神障害、難病などがあること ※障害者手帳をお持ちでない方も利用可能な場合があります。

■18歳以上満65歳未満の方

■離職中の方(例外あり)

 

どんな支援が受けられるの?

「就労移行支援事業所」の支援内容はおおまかに以下の3段階に分けられます。

就職前の「職業訓練」から就職後の「定着支援」まで一貫した支援を受けられるのが特徴です。

  1. 就業準備性を整える・職業訓練
  2. 就職活動のサポート
  3. 定着支援

以下に各段階の支援内容について説明していきます。

 

1. 就業準備性を整える・職業訓練

就労移行支援事業所に定期的に通所し、就労に必要なスキルやマナーを身に付けるためのプログラムに参加します。
それまでの就労経験や障害特性によって課題が個人ごとに異なるため、個別支援計画を作成し、その人に合った目標を立てて取り組みます。
事業所内で作業に取り組んだり、講座でレクチャーを受けたりなど、事業所によってそれぞれ独自のプログラムを実施しています。
また企業に数日~2週間程度の職場体験実習の案内も事業所あてに届くことがあり、実習を通して就労イメージをつけることもできます。

 

  • 週5日間、1日5時間など、決まった時間に決まった場所に通う体力を付ける
  • 決められた作業を継続・集中して取り組む習慣をつける
  • 自分がどんな作業に向いているか、どんなことでつまずきやすいかを知る
  • 挨拶や言葉遣い、服装などのビジネスマナーを身に付ける
  • 障がいの自己理解を深め、対処法を習得する

 

2. 就活支援

職業訓練を経て、どのように自分が働いていけそうかをイメージできるようになると、いよいよ実際の求人に応募していきます。
就活の進め方も支援員と相談しながらプランを立てていきます。
面接などに支援員が同行してフォローすることもあります。

 

  • 自分のペースに合わせて就活を進める
  • 自分の特性や希望条件に合った求人を選ぶ
  • 企業への自己PRの仕方、障害特性の伝え方を学ぶ
  • 模擬面接を行い、面接対策をする

 

3. 定着支援

企業から内定をもらい就職先が決まったら、次はその職場で長く働き、活躍できる人材になることが重要です。

■入社後~6ヶ月

業務を覚え、職場の環境になじむ過程で何か問題はないかを、支援員が職場を訪問して確認します。

  • 入社後の慣れない環境での困りごとを解決する
  • 長期間継続して働くために、業務や生活のペース配分を確認する
  • 企業・本人・支援員の三者間でサポートに入り、問題解決を行っていく

職場に直接言いにくいようなことも支援員が橋渡しをすることで困りごとを解決し、働きやすい環境を職場と一緒につくっていきます。

 

■入社後7か月目~3年半以内

就労移行支援事業所などの福祉サービスを経由して就職した人は、”就労定着支援事業”を追加で受けることが可能です。期間は最大3年間です。安心して働きたい方、キャリア形成を意識して働きたい方には強い味方になるでしょう。

最近では、雇用主側から”定着支援”を入れてほしいと言われるケースも増えてきています。

就労定着支援については別記事で説明します。

 

費用はかかるの?

区分 世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯(注1) 0円
一般1 市町村民税課税世帯(所得割16万円(注2)未満)

※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除きます(注3)

9,300円
一般2 上記以外 37,200円

(注1)3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象となります。

(注2)収入が概ね600万円以下の世帯が対象になります。

(注3)入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」となります。

厚生労働省-障害者の利用負担


収入によって負担する上限額が決まっているため、9割の人が自己負担0円で利用されています。自己負担のある方でもほとんどが9,300円の上限額になっています。
自分がどこに当てはまるかは、お住まいの市区町村の障害高齢課などの窓口でご確認ください。

 

利用期間は?

就労移行支援事業所の利用期間は2年間です。
就労後の定着支援はこの期間に含まれず、継続して支援を受けることができます。
万が一就職後に離職してしまっても、市区町村と相談の上、再度就労移行支援を利用することもできますので安心です。

 

利用方法は?

1. 各事業所が実施している見学会や体験会に参加し、利用する事業所を決める

2. 障害福祉サービス受給者証を申請する

3. 利用計画を作成する

4. 利用契約を行い利用開始

 

見学会や体験会で支援員の方から詳しく説明が受けられますので安心して参加してみてください。


 

まとめ

障害のある方が就職活動や就労のためのサポートを受けられる就労移行支援事業所。障害があっても一般就労したい方は就労移行支援事業所の利用がおすすめです。

障害が原因で仕事を辞めた経験がある、働きたいけれど自分に合う仕事がわからないなど、働くことに不安がある方は、まずは興味のある事業所に相談だけでもしてみてはいかがでしょうか。