「障害者雇用枠」と「一般枠」?メリット・デメリットを徹底解説
2022.02.11掲載
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障がいのある方が就職・転職する場合、「障害者採用枠」と「一般採用枠」という2つの選択肢があります。障がいがあることをオープンにするのかクローズにするのか、どちらを選ぶかで働き方は変わってきます。今回の記事では、どちらの採用枠を選んで応募するべきかを悩んでいる方に向けて、障害者雇用の基礎知識や2つの採用枠のメリット・デメリットを詳しく解説していきます。

 

障害者雇用とは?

障害者雇用とは、障害者雇用促進法に定められている「障害者雇用率制度」に基づく雇用のことです。障害者雇用促進法は、障害者雇用の推進と安定を実現するため、これまで改正を重ねてきました。2021年3月に民間企業の法定雇用率は「2.3%」に引き上げられ、従業員を43.5人以上雇用している事業主は、1人以上の障がい者を雇用することを義務付けています。今後も法定雇用率に関する基準は引き上げられる見通しのため、事業主や公的機関などが、障害のある方を対象にした採用枠である「障害者雇用枠」を設けています。

 

障害者雇用枠で働くには、障害者手帳が必要

障害者雇用枠で働くためには、原則、障害者手帳の所有が必要です。
障害者手帳は各自治体から発行されるもので、身体障がい者の場合は「身体障害者手帳」、知的障がい者の場合は「療育手帳」、精神障がい者の場合は「精神障害者保健福祉手帳」がこれにあたります。仮に医師から診断を受けていても、障害者手帳を所持していなければ一般枠での応募になることがあります。

 

「障害者雇用枠」と「一般枠」の違い

「障害者採用枠」と「一般採用枠」の違いについて、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

 

障害者雇用枠で働くメリット

  • 合理的配慮が受けられる

「障がいの特性・症状を伝える」ことで、それぞれに配慮した適切な仕事環境や仕事内容を用意して貰うことが期待できます。

また、企業によりますが職場の人々に障害についての理解を促すアナウンスや障害について認識を深めてもらえるような機会や対応を取ってもらえることがあります。さらに、同じような障害をもつ先輩や同僚を得ることができる場合もあります。

 

  • 雇用前の見学や実習を受けられる企業が多い

一般枠では、採用前に職場見学をさせてもらえたり、雇用前実習を受けられるということはなかなかありません。ですが、障害者雇用枠であれば長期で活躍してもらうことを目指し、見学・実習を受け付けている企業も多いです。実際に就職する前に会社の雰囲気や仕事を体験できる機会があるので、安心して入社することができます。

 

  • 定着に関する支援を受けられる

福祉サービスを利用して就職した方は、公的事業の「定着支援事業」を受けることができます。企業や本人との定期面談や業務の調整などを間に入って行うことで長く働くことをサポートする制度です。

仙台宮城求人サポートセンターでも独自で運営している定着支援を提供しています。

 

  • 障がい者雇用に積極的な大手企業に採用される可能性がある

大きな企業の障害者枠の応募は、一般枠での応募より競争率が下がるので、ランクが上の方の企業に就職できる可能性が高まります。

 

障害者雇用枠で働くデメリット

  • 求人の職種に偏りがある
障害者雇用では、一般雇用に比べ求人の数が少ないのが現状です。そのため、障害者枠では、求人を探すのに苦労することもあるでしょう。
また職場にもよりますが、仕事内容が限られていたり、通常の雇用枠で採用された人と比較すると給与が低かったりすることがあります。
 
  • キャリアアップのイメージがしづらい場合がある

会社によっては、障害者雇用のための制度などを作っているところもあります。そのため、給与や仕事の幅、進めるキャリアが限られてしまう場合があります。

 

  • 上司や同僚から障害者として見られることをストレスに感じる

職場で”障害者”として見られたり、扱われたりすることがあります。

 

一般枠で働くメリット

  • 求人数や職種はたくさんあるので選びやすく、給与水準が高くなる傾向がある

求人数は障害者雇用枠に比べて圧倒的に多いため、選択肢が多くなります。
職種も多様ですので、障がいがあっても健常者と同じように働きたいと言う場合にお勧めです。
企業によっては、障がい者枠を設けていない場合もありますので、選択肢を広げたい場合には一般採用で探してみるのもいいでしょう。

 

  • キャリアアップができる

障害者雇用に比べると業務内容の幅も広く、キャリアアップの可能性なども高まる傾向が見られます。

 

一般枠で働くデメリット

  • 職場の人に障害を持っていることがバレないように隠すことがストレスにつながる

面接の場で自分の障害を伝えたとしても、一般枠での場合は、その情報は限定的に扱われます。
よって自分自身で周囲に開示しない限りは、障害自体を隠しながら働くことになり、さらには、障害による仕事への影響があっても、それを隠しながら働くことになるためかなりストレスが溜まります。

 

  • 適切な配慮は期待できない

一般枠での就職だと、業務の量や環境、勤務時間などへの配慮が受けられない場合があります。一般社員と同じ扱いですので、通院による休みの申し出や急な体調不良による欠勤など、自分だけ特別に配慮してもらうわけにはいかないことが多いです。一般社員と同等の成果を求められることも、一般枠のデメリットです。

 

採用枠の違いによって、賃金体系や雇用形態に差を設けていない企業もある

企業によっては、経営方針において障害者採用枠と一般採用枠とで、賃金体系や人事制度に差を設けていない場合もあります。たとえば、採用試験時に障害に関して配慮してほしい内容を申し出ることで、前向きな対応をしてくれるといったケースです。賃金体系や人事制度などは、企業のホームページを見るだけではわからないこともあります。そのため、面接時に確認したり、障害者の就職支援事業者に相談したりといった方法で、企業の情報を集めましょう。事前の情報収集により、就職後のミスマッチを防止できます。

 

どちらにするか迷ったら

障害者枠か一般枠か迷った時には、どうすればいいのでしょうか。

自分の障害が仕事や生活にどの程度影響するのか、そして、その障害の影響によって、自分にどのような配慮が必要なのかを理解しましょう。自分の障害の影響と、自分に必要な配慮を理解しましょう。その上で、自分が応募しようとしている会社での業務がしっかりできるのかどうかを見極めて、障害者枠か一般枠かを選びましょう。

そのために、自分の障害特性に合った働き方を知ることが、非常に重要なポイントとなります。まず自分の障害特性を知り、その特性に合った働き方ができる方を選ぶことが就職の成功につながります。自分の障害特性などを知るためには、公的・民間問わず、さまざまな支援サービスを活用しましょう。

 

なんでもご相談ください

仙台宮城求人サポートセンターでは、障がいに関するご相談をいつでも無料で受け付けています。まずはご相談ください。